フォトスタジオは年1回の勝負で決まる|10月・11月の2か月に売上の4分の1が集中する
フォトスタジオの経営は、他の業種とかなり違います。1年のうち特定の2か月に売上が集中し、そこで決まってしまう。感覚としてご存じの方は多いと思いますが、実はこの構造は、上場している大手チェーンが公表している月次データで正確に確かめられます。数字を並べると、どこに力を入れるべきかがはっきりします。
この記事のポイント
- こども写真の売上は10月・11月に集中する。大手チェーンの月次公表値では、この2か月で年間の26.2%を占め、最も多い11月は最も少ない1月の2.7倍。同社は決算資料で「七五三の記念撮影が10月〜11月に集中し、年間売上高の約4分の1を占める」と自ら説明している。
- 同社の上期(3〜8月)は営業赤字で、通期の営業利益は下期だけで作られている。つまり年1回の需要期に選ばれるかどうかが、そのまま年間の損益を決める。
- 七五三の対象となる子どもの数は、3年前・5年前・7年前の出生数からすでに確定している。2026年秋は約240万人、2027年秋は約230万人で、毎年4〜5%ずつ縮む。予測ではなく既知の数字なので、その前提で準備できる。
10月・11月の2か月に、年間の4分の1が集中する
こども写真スタジオを全国展開するスタジオアリスは、月次の売上高を毎月公表しています。直近1年(2025年3月〜2026年2月)の実額を並べると、こうなります。

10月と11月の2か月で、年間売上の26.2%。11月の1か月だけで15.2%を占めます。同社自身も決算資料でこう説明しています。
こども写真業界の収益構造は七五三の記念撮影が10月〜11月に集中し、年間売上高の約4分の1を占めるため下半期に売上が偏重する傾向にあります。
しかも、年間の利益は下期だけで作られている
さらに踏み込むと、もっとはっきりした構造が出てきます。同社の上期(3〜8月)は営業赤字(△4.6億円)で、通期の営業利益20.9億円は下期だけで作られている——公表されている上期実績と通期実績を突き合わせると、そうなります。
これは規模の大小に関わらず、こども写真を扱うスタジオに共通する構造です。年1回の需要期に選ばれるかどうかが、そのまま年間の損益を決める。 逆に言えば、7月や1月の集客を頑張るより、9月に「この秋どこで撮るか」を検討している親御さんに見つけてもらうことのほうが、桁違いに効きます。
いま起きているのは「件数減を単価で埋める」競争
同社は月次で、撮影件数と客単価の前年比も公表しています。直近16か月を並べると、14か月で「件数は前年割れ・単価は前年超え」という組み合わせになっています。しかも単価は16か月で一度も前年割れしていません。
つまり業界全体として、来店する組数が減るなかで、1組あたりの提案で売上を維持している状態です。これは短期的には成立しますが、母数が減り続ける前提では、いずれ限界が来ます。だからこそ「そもそも来てもらう」段階の重要性が上がっています。
七五三の対象人数は、7年前にもう決まっている
この業種には、他にない特徴があります。将来の需要が、すでに確定していることです。七五三の対象は満3歳・5歳・7歳。つまり3年前・5年前・7年前の出生数を足せば、その年の対象人数が正確に出ます。 厚生労働省の人口動態統計から計算すると、こうなります。
- 2024年秋 … 約262万人
- 2025年秋 … 約253万人(前年比 96.5%)
- 2026年秋 … 約240万人(前年比 95.0%)
- 2027年秋 … 約230万人(前年比 95.6%)
毎年4〜5%ずつ縮んでいきます。 これは予測ではなく、すでに生まれた子どもの数を足しただけの既知の数字です。悲観する話に見えますが、実は逆で、前提が確定しているぶん、準備ができるということでもあります。「来年は4%減る」と分かっていれば、そのぶんシェアを取る計画が立てられます。
自店で確認する手順
需要期に選ばれるための確認を、費用をかけずにできる範囲で並べます。やるなら9月より前です。
- 1「市区町村名+七五三 写真」「◯◯ フォトスタジオ」で、地図・検索・AIの3つに聞いてみる——自店が出るか、何番目かを見る。8月中にやるのが実務的
- 2写真の枚数と鮮度を確認する——この業種は写真そのものが商品です。地図やプロフィール上の写真が去年のまま、シーズンの実例が載っていない状態になっていないか
- 3対応できる撮影の種類を、探す人の言葉で書き出す——「七五三」だけでなく「お宮参り」「百日」「ハーフバースデー」「入園入学」「成人式前撮り」「マタニティ」。0歳児の撮影を増やしたいなら、その言葉が載っているかが前提
- 4「早撮り」「後撮り」に対応しているなら明記する——需要期の集中を分散させる打ち手であると同時に、その言葉で検索する層が実在します
- 5繁忙期の営業時間・予約状況を正確に反映する——10月11月は特別体制になる店が多いので、通常の営業時間が出ているとすれ違いが起きます
難しくはない。ただ、一番忙しい時期に手が回らない
ここまで書いたことは、どれも自店でできます。 ただ、正直なところ面倒です。 写真の追加、プランの更新、繁忙期の営業時間の反映——どれも掲載先の数だけ作業が発生します。
そして厄介なのは、この作業が一番必要なのは需要期の直前で、そこは一番忙しい時期でもあるということです。撮影と写真選びで手が塞がる10月11月に、情報の点検まで手が回るスタジオは多くありません。できるかどうかではなく、続けられるかどうかの問題になります。
ミチビトがお引き受けしているのは、この部分です。主要サービスへの店舗情報の一括反映、Googleビジネスプロフィールの整備、写真や投稿の更新の仕組み化、そして地図やAI検索での見え方の定点確認まで。この秋に間に合わせるなら、動くのは8月です。 お問い合わせから無料でご相談ください。整備の中身は機能一覧にまとめています。
まとめ:今日、10分でやること
10月・11月の2か月で年間の26.2%。上期は赤字で、利益は下期だけで作られる。そして対象人数は毎年4〜5%ずつ、確定した形で縮んでいく——この構造の中では、需要期に見つけてもらえるかが決定的です。
- 1「市区町村名+七五三 写真」で、地図・検索・AIの3つに聞いてみる(5分で現状が分かります)
- 2掲載中の写真が今年のものになっているか、撮影の種類(お宮参り・百日・早撮りなど)が書かれているかを確認する
- 3繁忙期の営業時間・予約状況を反映する準備をする——この点検と修正は、ミチビトの無料診断でも店名と住所をLINEで送るだけで代行しています(無理な売り込みはしません)
出典
- 月次売上高等について(2025年3月〜2026年2月分)(株式会社スタジオアリス)
- 2026年2月期 決算短信・決算補足資料(株式会社スタジオアリス)
- 人口動態統計(出生数)(厚生労働省)
よくある質問
Q.七五三シーズン以外の集客は、どう考えればよいですか?
A.月次データを見ると、需要期以外の月は年間を通じて大きくは動いていません。売上の集中度を考えると、閑散期の底上げより、需要期に選ばれる確率を上げるほうが金額的な効果は大きくなります。ただし「早撮り」「後撮り」は需要期の集中を分散させる打ち手であり、その言葉で検索する層も実在するため、情報として明記しておく価値があります。
Q.七五三の対象人数は、本当に事前に分かるのですか?
A.分かります。七五三の対象は満3歳・5歳・7歳なので、3年前・5年前・7年前の出生数を足せば算出できます。厚生労働省の人口動態統計から計算すると、2026年秋は約240万人、2027年秋は約230万人となり、毎年4〜5%ずつ縮む見通しです。すでに生まれた子どもの数なので、予測ではなく確定した数字です。
Q.撮影件数が減っているのは、うちだけの問題ですか?
A.業界共通の傾向と考えられます。大手チェーンが公表している月次データでは、直近16か月のうち14か月で撮影件数が前年割れとなる一方、客単価は一度も前年割れしていません。件数の減少を単価で補う構造が、業界全体で起きています。
Q.秋に向けて、いつから準備すればよいですか?
A.検討が始まるのは夏の終わりから9月にかけてです。地図やプロフィール上の情報・写真の更新は反映までに時間がかかることもあるため、8月中に現状を確認し、必要な修正を始めておくことをおすすめします。