飲食店のインバウンドが隣の店には来て、うちには来ない|多言語対応は翻訳ではなく"情報の一致"の問題
「隣の店には外国人のお客様が並んでいるのに、うちには来ない」——飲食店のオーナーからよく聞く言葉です。グルメサイトに掲載料を払い、英語のメニューも用意した。それでも変わらない。なぜなのか。実は、運営会社が公表している数字を見ると、その理由の一端がはっきり見えてきます。
この記事のポイント
- 食べログのオンライン予約は年間3,069万人。そのうちインバウンドは58万人で、割合にして約2%(運営会社カカクコムの公表値)。グルメサイトに掲載料を払っても、海外のお客様はそこをほとんど通っていない。
- 海外からのお客様の入口は、地図アプリ・Google検索・AI検索が中心。つまり日本人のお客様と同じ場所を見ているが、見ている言語が違うだけ。
- 多言語対応というと翻訳の話だと思われがちだが、実際に効くのは「店名・住所・営業時間・メニューが、どの言語のどのサービスでも一致していること」。翻訳の巧拙より、情報の食い違いのほうが致命的になる。
グルメサイトの予約に、インバウンドはほとんどいない
食べログを運営するカカクコムの決算説明資料に、オンライン予約の内訳が載っています。年間のオンライン予約は3,069万人。そのうちインバウンドは58万人です。

割合にすると約2%です。 グルメサイトへの掲載は、日本人のお客様には効いているかもしれませんが、インバウンド対策としてはほとんど機能していないということになります。「掲載しているのに海外のお客様が来ない」のは、店の魅力の問題ではなく、そもそも見られている場所が違うからです。
では、海外のお客様はどこを見ているのか
旅行者が知らない街で店を探すときの行動を想像してみてください。日本語のサイト名を知らないので、まず開くのは地図アプリです。そして「近くのレストラン」で探す、あるいはGoogle検索やAIに「この辺で美味しい店は?」と聞く。日本人のお客様と、実は同じ場所を見ています。違うのは言語だけです。
問題は翻訳の質ではなく、情報の「食い違い」
多言語対応というと「英語メニューを作ること」だと思われがちですが、実際に致命的なのは翻訳の巧拙ではありません。同じ店の情報が、サービスごと・言語ごとに食い違っていることのほうです。
たとえば、こういう状態です。自分の店で当てはまるものがないか、確認してみてください。
- 店名のローマ字表記がバラバラ——「Sushi Hanako」「HANAKO」「Hanako Sushi」が別々のサービスに載っていて、同じ店だと認識されない
- 営業時間が言語によって違う——日本語ページだけ更新して、英語ページが古いまま残っている
- 住所の書き方が違う——ビル名・階数が英語表記だけ抜けていて、たどり着けない
- 定休日・臨時休業が地図側にだけ反映されていない——せっかく来たのに閉まっていた、が最悪の体験になる
- メニューの価格が古い——翻訳したときの価格のまま止まっている
海外からのお客様にとって、これらの食い違いは日本人のお客様以上に致命的です。言語の壁があるぶん、確認が効かないからです。日本人なら電話で聞いて解決することが、旅行者には解決できません。そして、AIや地図サービスも同じように迷います——情報が食い違っていると、そもそも「同じ店」として自信を持って案内できなくなります。
実際にどう変わるか
- 業種
- 創作鉄板料理
- 地域
- 西麻布
- 整備した内容
- ビジネスプロフィール・店舗情報の一致・英語メニュー
オーナーの声:「『西麻布 鉄板』などで検索したときに、自分の店がきちんと表示されるようになってきました。英語メニューの整備も進み、海外のお客様をご案内しやすくなっています。グルメサイト頼みだった集客を、自分たちで動かせる手応えがあります。」※自社グループ店舗での事例であり、効果を保証するものではありません。成果は業種・地域・運用状況により異なります。
自店で確認する手順
費用をかけずに、今日できることから並べます。
- 1スマホの言語設定を英語に変えて、自分の店を検索してみる——設定→言語で切り替えるだけ。地図アプリに何が表示されるか、営業時間が正しいか、写真が出ているかを自分の目で見る(確認が終わったら日本語に戻す)
- 2掲載しているすべてのサービスで、店名のローマ字表記をそろえる——表記を1つに決めて、全部を書き換える
- 3住所のビル名・階数が英語表記にも入っているかを確認する——ここが抜けている店が非常に多い
- 4営業時間・定休日が、日本語版と外国語版で一致しているかを見る——片方だけ直していないか
- 5メニューの価格と内容が最新かを確認する——翻訳を作った時点で止まっていないか
整えること自体は難しくない。続けるのが難しい
ここまで書いたことは、どれも自分たちでできます。 特別な技術は要りません。ただ、正直なところ面倒です。 掲載先の数だけ管理画面があり、言語ごとにページがあり、営業時間を1回変えるたびにその全部を直す必要があります。そして年末年始や臨時休業のたびに、また同じ作業が発生します。
しかも飲食店は、営業中は手が離せません。できるかどうかではなく、続けられるかどうかの問題になります。1か所でも古い情報が残っていると、そこだけが海外のお客様の目に入ってしまう——これが一番もったいない状態です。
ミチビトがお引き受けしているのは、この部分です。主要サービスへの店舗情報の一括反映、Googleビジネスプロフィールの整備、そして受け取った言語でのクチコミ返信まで対応しています。まずは自店が海外のお客様からどう見えているかを、お問い合わせから無料でご相談ください。整備の中身は機能一覧にまとめています。
まとめ:今日、10分でやること
グルメサイトのオンライン予約に占めるインバウンドは約2%。海外のお客様は地図とAIから来ています。そして効くのは翻訳の質より「情報の一致」です。
- 1スマホの言語設定を英語にして、自分の店を検索してみる(10分で現状が分かります。終わったら戻すのを忘れずに)
- 2店名のローマ字表記を1つに決めて、掲載中のすべてのサービスでそろえる
- 3住所のビル名・階数、営業時間、定休日が全言語・全サービスで一致しているかを確認する——この確認と修正は、ミチビトの無料診断でも店名と住所をLINEで送るだけで代行しています(無理な売り込みはしません)
出典
- FY26/3 第2四半期 決算説明資料(2025年11月5日・IRライブラリ掲載)(株式会社カカクコム)
よくある質問
Q.グルメサイトに掲載していれば、インバウンド対策になりますか?
A.限定的です。食べログのオンライン予約3,069万人のうちインバウンドは58万人(約2%)にとどまります。掲載自体を否定するものではありませんが、海外からのお客様に届く経路としては、地図アプリ・Google検索・AI検索のほうが主要です。
Q.英語メニューを作れば十分ですか?
A.十分ではありません。メニューは店に入ってから見るものですが、その前に「店を見つけて、営業しているか確認して、たどり着く」という段階があります。ここで店名の表記ゆれや古い営業時間があると、そもそも来店に至りません。順番としては、店舗情報の一致が先です。
Q.多言語対応は何ヶ国語まで必要ですか?
A.言語を増やすより、まず主要な言語で情報が正確であることを優先してください。地図サービスやAIは、登録された店舗情報をもとに各言語で表示するため、元の情報が正しく整っていることの効果が大きくなります。翻訳ツールをそのまま貼った不自然な文章は、かえって不信感につながります。
Q.在日外国人向けにも同じ対策が有効ですか?
A.はい。むしろ在日の方々は地元の店を繰り返し利用するため、リピーターになりうる層です。検索の仕方は旅行者と同様で、母語で地図やAIを使って探します。店舗情報の一致という土台は、旅行者にも在住者にも同じように効きます。